税理士試験は難易度が高い試験ということもあって、受験生の多くが大原やTACなどの受験予備校に通って勉強しています。ただ、税理士試験受験生の中には独学で勉強している人も一定数いますが、実際に税理士試験を独学で受験して合格できるのでしょうか。税理士試験の独学合格の可能性と独学受験のポイントについて。
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税理士試験は独学で合格できるのか?
税理士試験の難易度は非常に高い。
「税理士試験はどのくらい難しいのか」で書いたとおり、税理士試験の難易度は日本にある資格試験の中でもトップクラスの試験のひとつです。1科目10%前後の合格率の試験を5科目も合格しなければならないこと、平均合格年数が8年以上であることなどからもわかるように、簡単に合格できる試験ではありません。
税理士試験受験生の多くが受験予備校の講座を受講している。
税理士試験受験生の多くが大原やTACなどの受験予備校の講座を受講しながら1年間必死に勉強してます。受験予備校はより多くの受講生を合格させることで翌年以降の受講生の数が変わるので、税理士試験の出題傾向等を分析したカリキュラムとテキスト・問題集を用いて専門の講師が受講生を徹底的にフォローしています。
税理士試験は相対評価試験
税理士試験の合格基準は表向きは60点以上とれば合格となっていますが、実際には合格率が一定になるように得点調整されています。過去の合格率の推移をみるとわかると思いますが、会計科目は15%前後、税法科目は10%前後になっています。つまり、税理士試験に合格するためには上位10%に入らなければいけません。
税理士試験の独学合格は絶対に無理?
税理士試験は独学で合格できるのかといえば、絶対に無理とは言えませんが、とても難しいと思います。税理士試験が上位10%が合格する相対評価試験であるという事を考えると、税理士試験に合格するためには受験予備校の徹底的なサポートを受けている受験生よりも良い成績を取らなければ上位10%に入ることができません。受験予備校の講座を受講して勉強しても上位10%に入るのが大変なのにそれを独学で…となると相当な努力が必要になります。受験予備校の講座を受講している人の2倍くらいは大変なのではないでしょうか。
税理士試験を独学で受験して合格した人はいないのか
税理士試験を独学で合格した人はいないのか?
税理士試験を独学で合格した人はいないのかといえば、ゼロではないですが極めて少ないはずです。どのくらい少ないかというと限りなくゼロに近いと思います。
税理士試験の独学合格のカラクリ
たまに「私は税理士試験に独学で合格した」という人の話を聞きますが、これらの人の中には全くの独学ではない人がいます。どういう事かというと、税理士試験受験1年目は大原やTACなどの受験予備校に通ったものの不合格になり、2年目から独学で勉強したという人です。
1年目:大原TACなどで1年間必死に勉強したが不合格
2年目:独学で合格
たしかにこのような人は合格した年は独学受験かもしれませんが、正確な意味での独学受験とは少し違います。少なくとも1年目に受験予備校で税理士試験の基礎を学んだ上で、2年目以降は独学受験したわけで、最初から独学受験していたわけではありません。独学受験で合格したという人の中には結構こういう人がいてるので、その人の言葉を額面通り受け取ると痛い目にあいます。
税理士試験は独学で合格できないわけではないが、とても難しい。というのが私の経験上から言えることです。
税理士試験の完全独学受験の合格率は0.1%未満
正確な統計を取ったことが無いので嘘になるかもしれませんが、私が知る限り税理士試験を完全に独学で勉強して合格した人は聞いたことがありません。絶対に無理という事は無いと思いますが、私の経験からすると完全独学の場合の合格率は0.1%未満じゃないでしょうか。
税理士試験を独学で受験するなら
税理士試験を独学で合格したいのであればポイントは次の通りです。
- 教材は受験予備校で買うべき!
- 模擬試験だけは絶対に受ける!
税理士試験を独学で受験するなら教材は受験予備校で買うべき!
税理士試験を独学で受験する人の理由として一番よく聞くのが「受験予備校の授業料が高い」ということです。簿記論や財務諸表論だと1科目あたり約20万円くらいするので、たしかに高いといえば高いかもしれません。ただ、税理士試験は受験予備校のサポートの下で必死に勉強している人でもなかなか合格できないのに、独学で勉強して合格するのは本当に難しいと思います。
税理士試験は合格しなければ全く意味がない試験で、万が一、不合格になったらその努力は全てが水の泡です。しかも税理士試験は1年に1回しかありません。受験予備校の授業料は高いかもしれませんが、そのお金を節約するために貴重な時間と労力を無駄にする方が私は勿体ないと思います。
それに税理士試験に合格すればそのくらいの授業料はすぐに元をとれます。
どうしても税理士試験を独学で受験する!と決意している人は、教材だけは大原やTACなどの受験予備校で買うことをお勧めします。教材だけなら安いはずですし、受験予備校のサポートもいくつか受けられるはずです。
教材も独自で!という人は、例えるなら、海図を持たずに太平洋をイカダで横断するようなものです。漂流してドロップアウトするか(大半が挫折)、本当に運良く目的地に漂着したとしても相当の時間と労力が必要です。そのくらい税理士試験の完全な独学受験は難しいです。
書店に行くと税理士試験の参考書がいくつか売っていますが、これらの本で合格できるほど簡単な試験ではありません。そもそもあの参考書ってどういう人が買うのでしょうか…。悪い事は言いません。本気で独学で合格したいのであれば教材だけは大原かTACで買いましょう。
税理士試験を独学で受験する人は模擬試験だけは絶対に受ける!
大原やTACなどの受験予備校では5月頃になると複数回模擬試験を実施しています。税理士試験を独学で受験している人は絶対にこれらの模擬試験を1回は受験しましょう。
税理士試験の模擬試験を受ける理由は大きく次の通りです。
- 自分のポジションを知ることが大切。
- 自分の弱点をチェックできる。
- 本試験の雰囲気を味わえる。
模擬試験で自分のポジションを知ることが大切
先にも書きましたが、税理士試験は上位10%が合格する相対評価試験なので、本試験で合格するためには自分のポジションを適時把握することが大切になります。自分がどれだけ必死に勉強したとしても他の受験生があなた以上に勉強していれば合格ラインに入ることができないのです。
模擬試験で自分の弱点をチェックできる。
また、模擬試験を受験することで自分の弱点をチェックすることができます。税理士試験は試験範囲が広くて「完璧!」と思っても理解できていない項目というのが絶対にあります。これは普段の勉強では気づけないので、模擬試験でチェックします。
税理士試験本試験の雰囲気を味わえる。
税理士試験は1年に1回しかなく、緊張しない人でも緊張してしまう試験です。模擬試験を受験することで本試験の雰囲気を味わう事ができ、本試験に向けた対策を立てることができます。
試験問題を解いているときに他の受験生の電卓の音とか、独学受験だと味わえない雰囲気を体験できます。