
税理士試験は「税理士試験の独学合格の可能性と独学受験のポイント」で書いたように独学で合格するのは非常に難しい資格試験のひとつです(なぜ独学が難しいのかはそこに書いています。)。ただ、税理士試験を受験しようとしている人の中には「絶対に独学で!」という人が一定数いるのも事実。税理士試験の独学受験が良いか悪いかは別にして、ここでは税理士試験科目のうちどの科目が独学で合格できる可能性があるのかについて説明します。
Contents
税理士試験科目の独学合格の可能性が高い科目ランキング
私と私の友人の意見を参考にした勝手なランキングなので人によっては「違う!」ということがあるかもしれません。ご了承ください。
- 財務諸表論
- 簿記論
- 固定資産税、酒税法、住民税、事業税
- 国税徴収法
- 消費税法
- 法人税法、所得税法、相続税法
税理士試験科目のうち最も独学合格しやすい科目に関するアンケートです。上のは私の勝手なランキングなので他の意見になれば、と作成しました。

今後の独学受験生のために宜しくお願いします。
税理士試験の独学なら財務諸表論が一番合格しやすい。
税理士試験の独学受験で一番合格しやすいのは財務諸表論です。その理由は次の通り。
- 財務諸表論は合格率が一番高い!
- 簿記論よりも計算が簡単。
- 理論は税法より断然簡単。
財務諸表論は合格率が一番高い!
独学受験で一番大切なのは試験科目の難易度です。難易度は主観的なものなので全員に共通するものではないですが、過去の合格率の推移を見る限り、財務諸表論の合格率は他の科目よりも高くなっています。合格率が高いという事は難易度が低いという事でもありますし、独学受験をするのであれば財務諸表論が一番いいのではないでしょうか。
財務諸表論の計算は簿記論よりも簡単。
簿記論と財務諸表論は税理士試験の登竜門といわれる試験科目ですが、そうは言っても簿記論の計算問題を合格レベルまでもっていくのには結構苦労します。これに対して財務諸表論の計算は簿記論まで複雑な計算を求められるわけではなく、問題文から必要となる数字を見つけて簡単な計算式に当てはめれば合格点をとれます。言いすぎかもしれませんが、簿記論の計算に比べるとそのくらいの難易度です。
財務諸表論の理論は税法よりも簡単。
税理士試験受験生が一番苦戦するのが理論暗記です。税理士試験はこの理論暗記ができなければ絶対に合格できませんが、財務諸表論の理論暗記は税法科目の理論に比べるとかなり易しいレベルです。
税理士試験の独学なら財務諸表論が最適。
以上のことから私は税理士試験を独学で勉強するのであれば財務諸表論が一番だと思います。
簿記論も独学で合格しやすい。
簿記論と財務諸表論は試験の難易度から税理士試験の登竜門科目と言われていて、財務諸表論の次に独学で合格しやすいのは簿記論です。財務諸表論に比べると複雑な計算が多くて理解するまでに時間がかかるかもしれませんが、簿記論は計算しかないので税法科目に比べると独学でも勉強しやすいと思います。特に日商簿記2級以上を受験した人ならより独学でも合格できると思います。
簿記論は計算スピードが求められるので、独学受験生はこれに苦労すると思います。予備校では定期的に模擬試験を受けているので解答ペースをいうものを自分の中に持っているのですが、独学だとこのペースを掴むのに苦労します。まぁ、これは慣れなので、本試験までに何回か模擬試験は受けた方が良いと思います。
会計科目の次はミニ税法
税理士試験の独学受験なら会計科目の次は、固定資産税、酒税法、住民税、事業税のミニ税法です。いずれも勉強ボリュームが税理士試験の中では少ないため独学であってもしっかり勉強すれば合格ラインに入れるかもしれません。なお、ミニ税法ではあるものの国税徴収法は理論オンリーの科目のため独学だと少し厳しいと思います。計算はそれほど独学・受験予備校で差が無いと思いますが、税法理論は別です。独学だと苦労すると思います。
ミニ税法の次は消費税法
税理士試験の独学受験は消費税法までが限界かな…というのが私の感想です。消費税法も一応ミニ税法に分類される試験科目ですが、先のミニ税法に比べるとボリュームがあるので独学となると結構苦労すると思います。
法人税法、所得税法、相続税法は独学はかなり難しい!
税理士試験のどの科目も独学だと難しいですが、法人税法・所得税法・相続税法は別格です。特に法人税法と所得税法は予備校で1年間必死に勉強しても複数年かかるのが当たり前なのに、それを独学となると…。絶対に無理とは言いませんが、まずは簿記論と財務諸表論の独学合格を目指して、次にミニ税法で税法の独学合格を達成してからチャレンジしないと、その難易度に圧倒されて税理士試験そのものを諦めてしまうかもしれません。
税理士試験の独学は時間と労力が半端ない!
税理士試験の性格上、独学受験はハンデが大きい。
税理士試験の独学受験を考えている人は、本当に独学受験に耐えられるのかどうかもう一度しっかりと考えた方が良いと思います。税理士試験が上位10%が合格する相対評価試験であるということ、税理士試験受験生の多くが受験予備校の講座を受講していることを考えると、独学受験というのはそれだけで相当なハンデを背負っていることになります。
税理士試験は合格しなければ世間では全く評価されません。
「私、税理士試験を受験したことがあります。」と言っても社会では全く評価されません。これは税理士試験に限ったことではないかもしれませんが、合格しなければ意味がありません。たまに「税理士試験の勉強が役に立っている」という人がいますが、税理士試験にかけた時間と労力を考えると本当に微々たるリターンで、キツイ言い方になるかもしれませんが、リターンは無いのと同じようなものです。
税理士講座の授業料がネックで独学を考えているなら格安講座を活用すべき。
税理士試験の独学受験を考えている人の中には税理士講座の授業料がネックになっている人がいると思いますが、授業料がネックで独学を考えているのであれば最近では大原やTACの半額以下の授業料の講座も出ているのでこれを活用した方が良いと思います。
税理士試験の独学は強い決意と忍耐、執着心が必要。
税理士試験は受験予備校の講座を受講しても合格するのが難しい試験なのに、それを独学でするのであればさらに難しくなります。税理士試験の合格には忍耐と執着心が大切と言われますが、独学受験の人はより一層の忍耐と執着心が必要です。
私は独学は難しいと思っていますが、絶対に無理というわけではないですし、私がここで書いている事が全てではありません。どうしても私は独学に否定的になってしまいますが、もしかすると独学でも合格できる方法があるかもしれないので、独学受験を決意している人はその考えをブレずに本試験まで直行して下さい。ダメでも来年また考えたら良いだけですしね。