受験専念を決断する前に考えておくこと


仕事をしながら税理士試験に合格するのは簡単なことではありません。そのため受験生の中には仕事を辞めて税理士試験に専念する人がいますが、受験専念には一定のリスクがあるので、それを踏まえたうえでしっかりと考えるべきだと思います。

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税理士試験の受験専念リスク

税理士試験の受験専念リスクは次の通りです。

  • 受験専念だとたくさん勉強できる!というわけではない。
  • 受験専念でも短期合格できるとは限らない。
  • 精神的にしんどい。
  • 合格できなかった時の再就職は条件が悪くなりやすい。

受験専念だとたくさん勉強できる!というわけではない。

仕事をしながら勉強している人からすると受験専念だと思う存分勉強できると思うかもしれませんが、実際に受験専念をしたとして、最初の数か月はモチベーションが高いので毎日10時間以上勉強できるかもしれませんが、これを1年間以上続けられるのかというと私は難しいと思います。

たくさん勉強時間があることが、反対に勉強効率を悪くしてしまうこともあります(ダラダラ勉強の増加)。

受験専念でも短期合格できるとは限らない。

受験専念だと毎日思う存分勉強できるから短期合格できると思うかもしれませんが、先にも書いたように受験専念だからといって質が高い勉強ができるわけではありません。

もちろん仕事をしている場合に比べると勉強時間を確保できるので合格しやすい環境にはなりますが、それが合格に繋がるかどうかは本人の努力次第なので、受験専念=短期合格というわけではありません。

受験専念は精神的に辛い。

受験専念の人からよく聞くのは精神的に辛い…ということです。仕事を辞めて受験しているので万が一合格できなかった時のことを考えると正に背水の陣、毎年が勝負の1年です。そういった意味では質の高い受験勉強ができるように思いますが、やっぱりこの状態を1年間続けるのは精神的に大変だと思います。特に税理士試験は最低でも2年以上かかる試験ですし、そうなるとこの状態を2年、もしかすると3年以上も続けるのは相当大変です。

最初の頃は受験に対するモチベーションが高いので良いのですが、勉強が思うようにできなかったり、模擬試験の成績が悪いとかなり焦ります。さらに、もし1年目で1科目も合格できなかったら、その落込みレベルははかりしれません。

それに一定の年齢以上の人は本来社会人として働いている時間帯に私服で外を歩いているというのも辛いそうです。

合格できなかった時の再就職は条件が悪くなりやすい。

受験予備校のパンフレットを見ると「税理士試験科目合格者は就職転職で有利になります!」と書いていますが、これは大学生や仕事をしながら受験している人のことで、受験専念者については少し違います。

受験専念1年で簿財2科目合格か、法人税法or所得税法に合格したのであれば、税理士法人や税理士事務所で一定の評価が得られるかもしれませんが、簿財1科目やミニ税法1科目しか合格できなければ反対に評価が下がることもあります。税理士の卵を採用したい税理士法人等からすると「受験専念で合格できなかったのに、働きながら合格できるの?」と判断されてしまうことがあります。

さらに科目合格ゼロだと…。

受験専念はハイリスク・ミドルリターン

私は税理士試験の受験専念はハイリスク・ミドルリターンだと思っていて、たしかに仕事をしながらの受験勉強は大変ですが、税理士試験は科目合格制なので1科目ずつ勉強できますし、仕事をしながらでも日々の過ごし方を工夫すれば勉強時間を捻出できると思います。実際に税理士法人等で働きながら勉強している人の多くが繁忙期の確定申告を乗り越えて合格していますし、本試験前は平日の睡眠時間が平均3時間…という人も珍しくはありません。

たしかに受験に専念する方が勉強時間を確保しやすいというメリットがありますが、実際に受験専念をした場合に得られる効果とリスクを考えると私は受験専念をあまりオススメできませんし、特に30歳以上の人は再就職の事を考えると受験専念は相当な覚悟が必要です。

もし税理士試験で受験専念をする場合には、受験専念を決断する前に予め自分で期限を設定した方が良いと思います。


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